夏草や兵どもが夢の跡

夢の跡を鳥辺野で供養しています。

思想史?

安部磯雄のアメリカ留学に思うこと

宮本盛太郎『宗教的人間の政治思想――安部磯雄と鹿子木員信の場合――(軌跡編)』(木鐸社、1984年)読了。 文字通り、本書は「軌跡編」で著者の意図する「研究編」の前段階としての「資料編」です。そのせいもあってか、やはり引用が多く、読み物としての流れ…

『原理日本』と聖徳太子

中島岳志「『原理日本』と聖徳太子――井上右近・黒上正一郎・蓑田胸喜を中心に――」(石井公成監修『近代の仏教思想と日本主義』法藏館、2020年)読了。 『原理日本』の同人たちが、「親鸞―聖徳太子―明治天皇」というラインをいかに構築していったかという考察…

橋桁を叩き壊しながら「架橋」に希望を馳せる

森川輝一「不確かな橋の上で――タクシー運転手と政治思想史研究者の間――」(『創文』516号、2009年)読了。よきでした。 世に流れる数多の言葉――耳障りのよい物語から専門家にしか(にさえもよく)分 からない理論まで――に安易な橋を架ける必要はないのではな…

戦争と仏教者、翼賛の内面をトレースする

東真行「聖徳太子と日本主義――金子大榮を中心に――」(石井公成監修『近代の仏教思想と日本主義』法藏館、2020年)読了。勉強になりました。 「十五年戦争」期から盛り上がる、「日本精神」と聖徳太子のブームですが、金子大榮という仏教学者が、単に国策に迎…

日中両国の戦後を代表する知識人対談

近藤邦康「一九八九年三月二〇日 丸山眞男・李沢厚対談」(『東京女子大学比較文化研究所附置 丸山眞男記念比較思想研究センター報告』第十号、2015年) 1989年3月20日14時30分から18時まで、岩波書店旧館丸山研究室で、丸山眞男と李沢厚の間で行われた対談…