Arthur Alfaix Assis, “Schemes of Historical Method in the Late 19th Century: Cross-References between Langlois and Seignobos, Bernheim, and Droysen,” in Luiz Estevam de Oliveira Fernandes et al. (eds.), Contributions to Theory and Comparative History of Historiography: German and Brazilian Perspectives (Frankfurt am Main: Peter Lang GmbH, 2015).
読了。よきでした。
19世紀後半に西欧世界と中国や日本で広まった歴史学方法論、特にセニョボス&ラングロア、ベルンハイム、そしてドロイゼンに通底するラインおよびその考察がなされています。
セニョボス・ラングロアは否定しているものの、この三者の方法論にはある程度近似性があり、セニョボス&ラングロアはベルンハイムを参照し、ベルンハイムはドロイゼンを参照していることにもそれは表れています。
ただ、筆者自身が断っているように、そのラインを認識論的に掘り下げることはしていません。(私はそれをやってほしかったのですが……)
結局筆者が言いたいのは、これら三者の業績が特にセニョボス&ラングロアを通じて西欧そしてアジアにも紹介され、歴史学者がアマチュアではないという自意識と、歴史学者相互の同僚意識の醸成に役立ったということのようでした。
また、セニョボス&ラングロアは日本より中国の方でより翻訳が多く行われ、参照されていたようです。日本では1942年が最初の邦訳にもかかわらず、中国では北伐が終わる前からすでに翻訳が出ているようです。
中国での受容については手ごろなものだと、黄进兴「重识穿梭异文化空间的人物」があるので読んでみようと思います。
むずかしかった。ごちそうさまでした。